日本の鍼灸治療における身体分析方法の現状
2014年世界鍼灸学会連合会 鍼灸統合医療会議 ヒューストン大会 

日本国 東京・清野鍼灸整骨院
山田昌紀・丸山典子・南波利宗・村田朝子・清野充典


【はじめに】

 日本では、410年頃より1600年以上にわたり鍼灸治療が行われている。
日本で行われている鍼灸治療は、中国で行われている治療法と大きく異なっている。
そのため治療に至る身体分析方法も多くの差異がある。
今回は、日本で行われている鍼灸治療の身体分析方法を紹介する。


【本論】
 鍼灸治療を行う際は、治療方針を決定するための身体分析を行っている。
古来より、患者から情報を得る方法として四診という4種類の診察がある。
四診は、望診・聞診・問診・切診がある。

現在、日本において行われている鍼灸治療の身体分析方法を大別すると、
現代医学に基づいた身体分析方法、中医学に基づいた身体分析方法、
日本に伝統医術として伝承された鍼灸治療の手法に基づいた身体分析方法に分けられる。

現代医学に基づいた身体分析方法は、現代医学による病名診断を基に解剖学、生理学などの観点から患者の症状や状態を分析する。
中医学に基づいた身体分析方法は、四診に基づき分析する。この時「弁証」という方法論を用いる。
伝統的な鍼灸治療の手法に基づいた身体分析方法は数多く伝承されているが、
その中で脈診法、腹診法や体表観察などが重要視されている。
身体分析で得た情報は、治療点や治療直後の身体評価に用いられ、
臨床に直結している。また、再現性を得やすい特長がある。


【考察】
 現代医学や中医学に基づいた身体分析方法は、診断学という体系を形作ることには有用だと考える。
しかし、経脈、経穴に治療点を求める鍼灸治療の特性を考えると、臨床に直結する身体分析方法とは言い難い。
日本に伝統医術として伝承された鍼灸治療の手法に基づいた身体分析方法は、
脈状診、脈差診や腹部の積聚等を基に考えられ、臨床に直結し、かつ再現性を得やすい方法である。
日本の身体分析方法を体系化することが世界における鍼灸医療の普及に貢献できると考える。


【結語】
 日本の鍼灸治療における身体分析方法の現状を報告した。
日本の身体分析方法を体系化することは、鍼灸医療を世界に普及する一助になると考える。


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