慶煕大学校・韓医科大学 附属韓方病院および

韓方医院(ソウル)にみる鍼灸治療の現状について

京都地方会

○北出利勝*、和辻 直*、清野充典**

*明治鍼灸大学 東洋医学基礎教室、**東京地方会東洋医学総合研究治療所

【目的】

最近の鍼灸医療事情を知るために自由経済体制の韓国を見学調査した。

【方法】

A. 慶煕大学校 韓医科大学 附属韓方病院(SEOUL東大門區回基洞)。

B. (1)范 煕 邊 韓医院 (2)金 鎮 敦 韓医院(2施設、SEOUL松坂区)。

【結果】

A. 慶煕大学校韓医科大学は韓医科大学として韓国で最も大きく古い歴史を持っている。附属病院は韓方病院といわれ、西洋医学の附属病院は別に存在する。韓方病院では外来部門(患者数、年40万名)、薬剤部(漢方処方の調剤室など)、病棟400床(脳血管障害後遺症の患者に対する鍼灸治療など。患者数、年12万名)、鍼灸科それに入院患者用の煎薬室を設けている。さらに独特なのは韓方救急室と韓方ICUがあることである。病院に隣接する東西医学研究所では本病院の独自の漢方薬の開発や製造などの研究がなされている。別棟では漢方病理学や生理学および経絡学実験室などの研究室がある。諸検査は全く現代医療と同じであり、それに韓国伝統医学の診察をあわせ漢方薬を最大限に活用している。鍼灸医療に関しては院内に鍼灸診療が独自の外来としてあること、入院患者にも鍼灸が十二分に活用されていること、鍼灸が保険適用でなされていることなどが現況であった。(2000年11月14日)
※韓方病院の標榜科目:
1 .韓方一内科(肝系疾患・肝臓疾患系統)
2 .韓方二内科(心系疾患・循環器)
3 .韓方三内科(脾系疾患・消化器)
4 .韓方五内科(肺系疾患・呼吸器)
5 .韓方六内科(腎系疾患・泌尿器)
6 .韓方婦人科
7 .韓方小児科
8 .韓方耳鼻咽喉科
9 .韓方神経精神科
10.韓方皮膚科
11.鍼灸一科
12.鍼灸二科、
13.韓方物理療法科(リハビリテーション)、
14.気功科、
15.四象医学科。

B.
(1)主に鍼灸治療を主体として行っている。院内は明るく清潔であり、置鍼術と赤外線照射が行われ、低周波通電装置もある。1患者に対し15分間。受付1名、助手2名で1日60名を診療する。
(2)テレビにも多数出演しているという人気の韓医師。テコンド(韓国の武道)に対する治療などの専門性を持ち、院外活動の多い先生。ここでは初診の患者の診察を見させて頂いた。漢方薬と鍼治療を併用していた。通常の韓方医院では主に漢方薬が主体である。(2000年11月15日) 

謝辞

種々
御配慮賜っだ基湖(Joh, Kiho)副教授=慶煕大学校韓医科大学第2内科学(循環器・中風)教室、韓醫學博士、韓医師に感謝します。