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医療改革 75歳以上の新保険提言
                  2000.8.30(水)朝日新聞より引用

医師会 財源9割公費で

 日本の医師会は29日、高齢者医療制度を柱とする医療改革の中期ビジョン「2015年医療のグランドデザイン」をまとめた。医療保険財政を圧迫している老人保険制度を廃止し、都道府県単位 で75歳以上を対象に保険制度を創設、財源の9割を公費でまかなう、いわゆる独立保険制度を正式に打ち出した。
 介護保険もこれに統合する。政府・自民党に発言力を持つ日医の改革案が固まったことで、2002年度に先送りされた医療制度抜本改革に影響を与えそうだ。

 現行の老人保険制度は70歳以上が対象で、自己負担を除く財源の3割は公費、7割が各位 量保険制度からの拠出金だ。独立保険制度になれば、高齢者は医療費の1割を自分の保険料などから支払い、9割が公費で負担される。
 急速な高齢化で、赤字の健康保険組合が増えて問題化。政府は2000年度の改革をめざしたが、意見がまとまらず、厚生省がたたき台づくりに乗り出している。
 また、日医の改革案では、公的医療保険のほかに、医療のための自己資金を用意する「自立投資」の制度を提唱。
 現在の医療保険の給付対象は引き続き公的保険でカバーする一方、遺伝子治療や臓器移植といった先端医療技術などは、選択性のある医療として自立投資分野の給付対象にする。

 しかし、保険診療に患者の自費診療を上乗せする「混合診療」が、原則として禁止されていることとの関係などで論議を呼びそうだ。

【コメント】
 殆どの健康保険組合が赤字になっているのは、老人保険の財源を各組合に均等に負担させているからです。これを「老人拠出金」といいます。
 今年度中に約97%の健保組合が赤字になると見られており、社会保険制度は火だるま状態です。いくつもの代案が出ていますが、全て政治の力で先送りになっています。
今回の医療改革案は70歳から75歳へ引き上げる方策ですが、現在の老人総数は10年後にはより高齢化することから、5%引き上げても殆ど変わりません。愚策としかいいようのない政策です。

 ここで問題になるのは、「混合診療」です。
現在の健康保険制度では、窓口での一部負担感の過不足は、認められていませんが、混合診療が認められれば自費負担金も加算可能となり、1回いくら払えばよいのか、全くわからなくなります。各病院毎に料金が全く違うことになり、医療はより不透明な物になります。国民の声が届かないところで、話し合いがもたれていることに対して、怒りと失望が交錯すると思いませんか。
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