医療保険の抜本改革なければ料率9.6%に(厚生省試算)
中小企業のサラリーマンらが加入する政府管理掌健康保険(加入者訳三千七百三十万人)の1999年度の赤字額が過去二番目に大きい訳三千二百億円にのぼったことが、27日発表された厚生省・社会保険庁の収支決算でわかった。
70歳以上の医療費で分担する老人保健拠出金の支出が急増したうえ、70歳以上の医療費を各保険で分担する老人保健救出金の支出が急増したうえ、不況で被保険者数と給料が減ったことが響いた。
厚生省は、2002年度には貯金にあたる事業運営安定資金が底をつき、破綻状態に陥ると予測。医療保険制度の抜本改革をしない限り、保険料率を現行の月給(標準報酬月額)の8.5%から9.6%へと、引き上げるしかないとの見通
しを明らかにした。
99年度の収入は、前年度より1%減って六兆九千九十一億円。
標準報酬月額が戦後初めてマイナスとなり、被保険者数も1.3%(約26万7千人)減と二年連続で減ったあおりで、収入の大半を占める保険料収入が2%落ちた。
支出は前年度より3.6%増の七兆二百五十四億円。
二年連続の減少から増加に転じた。
老人保健拠出金が高齢化で前年度より12.5%も増えて二兆三千三百七十二億円に跳ね上がり、退職者給付拠出金も合わせると支出全体の約4割近くをしめた。
赤字額の三千百六十三億円は96年度の四千百九十三億円に次ぐ。93年度以降7年連続の実質赤字だ。
厚生省の試算では、このまま老人保健拠出金の増加傾向などが続くと、赤字は2002年度五千八百億円、2003年度七千六百億円に膨らむ。
赤字の穴埋めに切り崩してきた事業運営安定資金は2002年度には底をつき、2003年度は九千九百億円が不足する計算になる。
現状が続けば、破綻を避けるには「保険料率を002年度に9.6%程度に引き上げるしかない」と厚生省は試算している。政管健保の保険料率は97年度に8.2%から過去最高の8.5%に引き上げられたばかりだ。
【医療保険制度の抜本改革】
1997年当時の自社さ政権が1.高齢者医療 2.薬価制度 3.診療報酬体系 4.医療提供体制の見直しを掲げたが、主に税金で75歳以上の高齢者の医療費を賄う日本医師会の案のほか、被用者など医療保険のグループごとに医療費を負担する健康保険組合連合会の案などがあって調整がつかず、政府は2002年度に改革を先送りした。
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