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340健保組合、解散の恐れ
                2000.11.28(火)朝日新聞より引用

老人医療費が重荷(健保連が全国調査)

 サラリーマンが加入する健康保険組合の約2割にあたる340組合が、2002年度には解散の危機に---健保組合が来年度予算の編成時期を前に危機的な財政状況に陥っている実態が27日、健康保険組合連合会(1761組合)がまとめたアンケートで明らかになった。「高齢者の医療費が増え続け、それを支える老人保健拠出金の負担が重くのしかかっているためだ。」健保連は30日開く全国大会で、「このままでは医療保険制度全体が崩壊する」として、国に高齢者医療制度の抜本改革などを求める方針だ。

 健保連によると、218組合が貯金にあたる別途積立金を使い果たし、解散しても当面 の支払ができるようにするための法定準備金(保険給付費と拠出金の3ヶ月分)まで取崩す予定だ。さらに、来年度予算で準備金もすべて使い、破綻状態に陥るのが102組合(今年度は13組合)にのぼった。
 「2002年度以降、組合方式を維持するか否かを視野に入れざるを得ないか」という設問に「はい」と答え、自主解散を考える組合が、回答した1585組合の21%にあたる340組合もあった。
 健保連は「解散する健保組合はここ数年の10前後にとどまらない。10年後には健保組合がなくなる事態もある」(下村健副会長)と危機感を深めている。

 健保組合が解散すると、中小企業主体の政府管掌健康保険などに加入する。健保組合のように独自に保険料負担を低く抑えたり、加入者が直接保養所に泊まったりできなくなる。その政管健保も財政破綻寸前の状態。また、自営業者らが入る市町村の国民健康保険も半分以上が単年度赤字だ。
 健保組合の拠出金は1999年度で、保険料収入の40%、今年度予算では介護保険制度が始まり、医療保険の一部が移ったために39%に落ちたが、来年度は41%と再び上昇すると健保連は見込んでいる。

  問題点(複数回答)として、83%の組合が「これ以上の拠出金負担には応じられない」、44%が「(労使の了解が得られないなどで)保険料率引き上げは困難」と答えた。
 財政悪化対策では「医療機関から請求される診療報酬明細書(レセプト)点検の強化」(59%)や「医療費削減に向けた(人間ドック補助など)保険事業の充実」(39%)をあげた組合が目立ったが、一方で財政に余裕がなくなって「保健事業の縮小」(33%)や「付加給付の廃止」(38%)をあげた組合もあった。財政逼迫で健保組合の独自性という利点が失われつつある実態が浮き彫りになった。

老人保健制度 
  原則70歳以上の医療費を賄う制度。本人の診療窓口負担を除き、7割が健保組合や政府管掌 健康保険(政管健保)、国民健康保険(国保)などからの老人保健拠出金、3割が公費負担で賄われる。老人を抱える比率が全国平均より低い健保組合や政管健保がよち多くの資金を拠出することで、老人比率の高い国保が財政難に陥るのを防ぐ仕組みだ。拠出金額は老人比率のほか、健保組合などに所属する老人が使う医療費も計算のもとになる。医療費が多ければ拠出金は大きくなる。拠出金はいったん社会保険診療報酬支払基金に集められた後、市町村を通 じて医療機関に支払われる。

【コメント】
 崩壊状態にある社会保険制度の末路が見えてきました。
340もの健保組合が解散すれば未納になる老人拠出金が残りの健保組合に降りかかる恐れもあります。税の投入か制度を変えなければ、2005年には全て消滅するのではないでしょうか。民間の保険参入がなければ、やがて社会保障制度そのものが崩れることは、間違いのないところです。

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