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定年後国保一般
だと3割負担 退職者医療制度なら2割 会社や役所を退職して市町村の国民健康保険(国保)に加入した人が、「退職者医療制度」の適用を申請すれば自己負担が医療費の2割で済む。それを知らずに3割負担の一般 加入のままだった人らが1999年度以降、全国で少なくとも約29万人見つかり、厚生労働省の指導で退職者制度に移っていた。 会計検査院から制度の不徹底を指摘され、厚労省が市町村に対象者の掘り起こしを指示したためだ。恩恵を受け損なう人が大勢出るほど、医療保険制度が複雑になりすぎているといえそうだ。 84年に始まった退職者制度は、国保に移った退職者が所属していた健保組合や中小企業の政府管掌健康保険、公務員の共済組合などから拠出金を集め、年金生活を始めた退職者の患者負担を軽くする仕組み。医者にかかりやすくなる退職者の費用負担を自営業者ら国保の一般 加入者に押しつけない狙いもある。だが、広く知られていないうえ、制度が複雑で市町村も対象者を充分把握できなかった。 国保の一般加入者は保険給付の半分が国庫負担となるため、会計検査院は96年、国庫負担を減らすことも狙って、健保組合などの拠出金に支えられる退職者制度への移し替えを求めた。 昨年1月までに54万人の潜在的な対象者が見つかり、うち29万人が市町村から連絡を受けて退職者制度に移る手続きをした、残る25万人は「再就職した人や、返事のない人もいて、実態はよくわからない」(厚労省)という。 加入者が急増した退職者制度は昨年度から財政状況が悪化し、今年度は医療費を支払うために一千億円を超す過去最高の借り入れとなる見通 しだ。この借入金は2年後に、健保組合などに全額請求される仕組みになっている。健保組合は別 の老人医療制度に対する拠出金の負担などが重荷となり、2002年度には積立金が底をつくなど解散寸前となる組合が全体の2割に達する見込みだけに、重いつけ回しとなりそうだ。 退職者制度の加入者は昨年11月時点で約512万人、99年度の医療費の支払は約1兆1800億円にのぼる。厚労省は「今年度予算は加入者急増の傾向がわかる前に組み、うまく見込めなかったのは事実だが、本来の制度に移ってもらったわけで問題はない」としている。だが、健康保険組合連合会は「市町村の窓口にすら制度が周知徹底されていなかったツケが、2年後にどんと回ってくる」と当惑を隠さない。 西村周三・京大教授(医療経済学)の話 国が行き当たりばったりで医療保険制度を改めてきた象徴のような事例だ。制度が複雑すぎて、専門家でさえわかりにくい。健保組合など保険財政がどこも赤字の今こそ、国民にわかりやすい制度へ抜本的に改革する必要がある。 退職者医療制度 会社や役所を退職して国民健康保険に入り、厚生年金や共済年金を受けている人とその家族が対象。年金に20年(または40歳以降で10年)以上の加入が条件。年金証書を受け取って2週間以内に市町村に届け出る。医療費自己負担は2割(家族の通
院は3割)。70歳になると原則1割負担の老人医療制度に移る。 |
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