関連遺伝子を発見 東大医科研など
脳卒中の一種、くも膜下出血に関連する遺伝子が突き止められた。遺伝子の型を調べれば、原因になる動脈りゅうができやすい人が分かり、予防にも結びつく。東大医科学研究所の井ノ上逸朗・客員助教授、東京女子医大の糟谷英俊・助手らが米国人類遺伝学会誌10月号に発表する。
脳卒中は脳こうそく、脳内出血、くも膜下出血などに大別され、特にくも膜下出血は、親きょうだいら血縁者が患者の場合に病気になりやすく、遺伝の影響が予想されていた。井ノ上助教授らは世界で初めて関連する遺伝子を絞り込んだ。
研究には全国94カ所の脳神経外科医療機関が協力、患者の同意を得て遺伝情報を解析した。くも膜下出血を起こしたか、検査で脳動脈りゅうが見つかった179人を調べたところ、関連する遺伝子が第7染色体にあることが分かった。特に、エラスチンというたんぱく質を作る遺伝子との関連が深かった。
エラスチンは血管を構成する成分で強度を保つ働きがある。くも膜下出血は、血管がこぶ状にふくらんだ動脈りゅうが突然破れておきる。エラスチン遺伝子に何らかの異常が起きると、破れやすくなると考えられる。
さらに、遺伝子部分のDNAの個人差を詳しく調べると、DNAの型によっては一般
の人よりも約4・4倍動脈りゅうができやすくなっていた。将来、遺伝子診断によって病気のリスクを判定できる可能性が出てきた。
くも膜下出血はふつう激しい頭痛を起こして一時意識を失う。40〜50代に多い。日本の患者は約25万人。脳動脈りゅうが一度破れると死亡率は約3割とされ、後遺症が残る場合も多い。
糟谷助手は「くも膜下出血には喫煙など生活習慣も影響している。この病気になりやすいタイプの人でも、禁煙などの生活改善をすれば予防に結びつく」と話している。
|