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厚労省方針 来年度実施めざす サラリーマンの健康保険は、もともと加入者本人の窓口負担がなかったのに、84年に1割負担が導入され、97年に2割に増額された経緯がある。医療費の膨張で保険財政が厳しさを増す中、さらなる患者の負担増は避けられないと判断した。小泉政権下での新たな国民負担増という「痛み」をめぐって論議が高まりそうだ。 現行制度では、サラリーマンが加入する組合健康保険(3212万人)や政府管掌健康保険(3732万人)、公務員の共済組合(1009万人)などの加入者本人の窓口負担は、かかった医療費の2割。加入者の家族は、入院の場合が2割、外来だと3割の負担となっている。これを一律3割とする方針だ。 健保の場合、一人あたりの年間の医療費は平均で約10万円(98年度)。2割負担だと2万円ですんでいたのが、3割に引き上げられると3万円となり、年1万円程度のアップになる。 一方、自営業者や無職の人が加入する国民健康保険(4224万人)は本人も家族も3割で、「国民皆保険なのに、加入する制度によって差があるのは不公平だ」との指摘が出ていた。 国民全体の1年間の医療費は約30兆円。このうち患者負担は約15%で、残りは保険料(約53%)と税金(約32%)で賄われている。患者負担の引き上げにより同省は(1)保険料や税金投入の伸びを抑えることができる(2)受診が抑制され、医療費の伸びも一定程度抑えられる、とみている。 厚労省は、患者負担が原則1割の高齢者医療制度の対象年齢を70歳から75歳に引き上げる方針を固めている。75歳以上でも高額所得者には「応分の負担を」として、現役世代と同じ負担とする案も検討している。 また、70〜74歳について、現役世代と同じ3割にすると急激な負担増になるため、2割程度とする案や、低所得者対策をとることを検討中だ。 患者負担の引き上げとは別に、同省は、大幅な赤字に苦しむ政管健保の保険料を引き上げる方針も固めた。中小企業のサラリーマンらが加入する政管健保は現在、加入者の月収の8.5%(労使折半)だが、1ポイント程度引き上げないと財政がもたない見通 しだ。患者負担引き上げとダブルの負担増となることから同省は、改革の全体像をはっきりさせたうえで引き上げ幅を圧縮する方針だ。
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