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高齢者医療、年齢・所得で負担調整 
                2002.09.14(土)朝日新聞より引用

厚労相改革案老人保健制度廃止

 坂口力厚生労働相は、高齢者医療の抜本改革案を固めた。サラリーマンや自営業者が加入する各運営団体(保険者)が、割り勘で高齢者医療費を賄う老人保健制度を廃止。新たに高齢者が多い団体を、少ない団体で支えるとともに、所得の高い団体で低い団体を支える仕組みとする。年齢構成と所得の違いで負担割合を調整する新構想だ。
 厚労相案を基に厚労省は10月にも改革案を策定。これを受けて政府・与党は年内に抜本改革案をとりまとめる。  いまの老人保健制度は各団体内の高齢者の割合に直接関係なく、全国平均と同じ割合で加入しているとみなして各団体がお金を出し合っている。このため特に高齢者が少ないサラリーマン団体の健康保険組合が、高齢者の多い自営業者らの国民健康保険(国保)への不満を募らせている。
 

  厚労相案は老人保健制度を廃止。各団体の年齢構成による負担格差を調整し、医療費がかさむ高齢者が多い団体より、若者が多い団体の負担を増やして支える仕組みとする。
 さらに、年齢だけでなく所得の違いにも着目。まず、所得を把握することが容易なサラリーマンが加入する被用者保険の団体間で負担を調整する。平均所得が高い公務員の共済組合や大企業の健保組合が、中小企業の政府管掌健康保険を支援する形だ。国保は所得把握が難しいため、今後の検討に委ねる。
 一方、自民党や日本医師会は高齢者を現役世代から切り離した別建ての新制度(独立方式)を求めており、厚労相案に併記する方針だ。  厚労省試算によると厚労相案を導入すると、改革実現のメドとなる07年度の保険料負担(年額、被用者保険は労使折半)は現行制度(成立した医療制度関連法を反映)と比べ、共済が1人あたり4・3万円増▽健保1・2万円増▽政管2・6万円減▽国保、増減なし▽税金投入0・2兆円増。高齢化のピークとなる25年度には、共済6・4万円増▽健保0・3万円増▽政管6・6万円減▽国保1・1万円増▽税金投入1・0兆円増となる。
 ただ、健保や共済から負担増に対する不満が出たり、当面は国保の所得調整が難しいため不公平感が広がったりすることが予想される。
 

【コメント】
 平成13年度より健康保険法・老人保険制度の改革案が数度出されましたが、結果的には負担金の増額のみで、抜本的解決策はありませんでしたので、細かな経過はHP上には載せませんでした。10月1日より老人保険を受けている方の定額制が廃止され、制度が複雑になりますが、これは厚生労働省側の老人保険制度廃止にむけた助走とみていいでしょう。時間はかかりましたが、はじめて健康保険制度の抜本改正がはじまりました。ただし、このことは40歳以上の国民が様々な医療サービスを受けられなくなることを意味します。自己管理が必要な時代が日本にもついに上陸した歴史的な政府案の公表といえるでしょう。

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