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6 日本の線香工場
お灸に火をつける際に使用するお線香は、一般家庭で使用する線香と同じように産生されています。生産上違うところといえば、
(1)燃えにくい材質である。
(2)家庭用の線香より太い。
(3)香料が入っていない。
というところでしょうか。鍼灸師の希望に応じ、灰が殆ど落ちない材質を開発し製品化しようとした職人さんがいましたが、完成品は温度が高すぎてちょっと触れだけでも大焼けどしそうなので実用化に踏み切らなかったというものもあります。(実際に触ってみましたが、ほんとに声も出ないぐらい熱かったです。ああ、これじゃあほんとに危ないわ!というのが実感)線香にもいろいろな種類のものがいろいろ苦労されて作られているんです。
さて、お線香は日本のどこで作られているかご存知ですか?75%が兵庫県の淡路島で残りの25%が大阪の堺市です。日本中どこにでもあるお線香が淡路島に集中しているのにびっくりしませんか?その理由を少しご紹介しましょう。
香木
昔、わが国には臭いのする木、「香木」がありませんでした。日本書紀によると、香木が東南アジアから流れ着いたのが、日本にもたらされた最初のようです。その地が、淡路島の津名町近辺だそうです。当時、淡路島は漁業以外に産業があまりなく、生活は大変でした。島の周りは、潮の流れが厳しく、他との交流も大変だったようです。そんな時に、線香作りという産業ができ、町をあげて線香作りに取り組むようになったようです。
当時(江戸時代)はお坊さんの多い堺が、線香の主要な取引先で、堺でもお線香を作ってました。しかし、大阪商人は作るより注文した方がよいという方向に少しずつ傾き注文先を、淡路島の工場へと求めていきました。その事により、需要と供給が合致し、この地域の線香作りが隆盛を極めていったようです。淡路島の中でも、特に津名町に線香工場が集中しており、工場の数が約25件(2001年3月現在)、町民の三分の一がその仕事に従事してます。まさに、線香の町といっても過言でないと思います。その中でわれわれが使用するお灸専門の線香を作っている工場は3件です。
それでは皆さん、線香ってどんな風に作っているかご存知ですか?簡単にいうと原料をお湯で混ぜ合わせ、トコロテンのようにニューと出して干して出来上がりです。イメージつかめました?
そんな説明では納得できない方のためにこのあと細かく説明いたします。興味のある人だけこのあとお付き合いください。
製造過程は
① 原料であるタブの粉と粘り気を出す糊粉、かさを増すための粉、染料(通常はこれに香料)等を良く練り合わせる。
タブの粉
かさを増すための粉
染料(通常はこれに香料)
混ぜ合わせている様子
② 機械に原材料を入れ、巣金と呼ばれる穴からところてん状に押し出し、盆板と呼ばれる板に受ける。
ところてん状に押し出す
盆板
③ 盆板からはみ出している線香の端を切りそろえる。同時に不揃いの部分を切りそろえる。(写真3)
④ 盆板を縦に重ねて乾燥させる。自然乾燥を1日、強制乾燥を2日置く。(昔は何日も自然乾燥させていたそうです。手間のかかる作業です。)
自然乾燥(1日)
強制乾燥
⑤ 熟成させて包装し、出荷する。
熟成
梱包と出荷作業
以上が大まかな製造過程ですが、各工場の線香の違いは①の原料の作り方のあるようです。どこの店でも味が違うようにわずかな分量、温度の違いででき不出来があるようです。特別に原料を作るところを見せていただきましたが、まさに職人芸です。しかし、職場の環境はお世辞にもいいとはいえません。そのため、どこの工場も跡継ぎに困っているようです。殆ど手作業に近いお線香作り。お灸をすえるときもお線香を手にすると思わず手を合わせたくなる気持ちになります。
お線香1本にたくさんの人々の気持ちがこもっています。
「お灸のはなし 1 はじめに」
「お灸のはなし 2 お灸って何?」
「お灸のはなし 3 艾(もぐさ)の作り方」
「お灸のはなし 4 日本の艾工場」
「お灸のはなし 5 なぜ線香で火をつけるの?」
「お灸のはなし 6 日本の線香工場」
「お灸のはなし 7 お灸って熱くないの?」
「お灸のはなし 8 お灸と鍼はどう使い分けるの?」
「お灸のはなし 9 お灸ってどんなときにするの?」
「お灸のはなし 10 お灸に効く病気は?」
東京・調布 清野鍼灸整骨院
院長 清野充典
清野鍼灸整骨院は1946年(昭和21年)創業
※清野鍼灸整骨院の前身である「清野治療所」は瘀血吸圧治療法を主体とした治療院として1946年(昭和21年)に開業しました。清野鍼灸整骨院は、「瘀血吸圧治療法」を専門に治療できる全国で数少ない医療機関です
[ 2021.02.03 ]
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