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院長ブログ

当院の治療(鍼灸院)

お灸のはなし 3 艾(もぐさ)の作り方

※「東洋医学の辞書サイト」は、清野鍼灸整骨院の旧サイトです。「お灸のはなし」は、旧サイトには写真入りで詳細にわかりやすく書いています。新サイトでは、文字のみの紹介になりますので、良かったら、旧サイト「東洋医学の辞書サイト」をご覧いただきたく思います。

3 艾(もぐさ)の作り方

艾の作り方ですが、実際に見てみると気の遠くなるような作業をして作っています。(図1)
蓬の葉っぱの裏についている繊毛のみが上質の艾として利用されている事実からして大変なことです。(図2)

艾には何種類もの製品の質があるのですが、最高級の物は蓬の葉っぱ全重量 のたった3パーセントしか製品になりません。270kgにして900gです。工場には米俵のように270kgの蓬の葉が積み上げられていましたが(図3)、この量 からたった900グラムしかできないと聞くと誰もが驚くのではないかと思います。

製造作業は手作業の部分が多く、職場の環境も細かな粉塵と強い臭いで息がしずらく、艾を作っている人に深く敬意を表したい気持ちになります。 その製造過程は、
 1. 艾を乾燥させます。乾燥にムラができないように、集荷した蓬の葉をほぐします。270kgの束はすごい量です。(図4)
 2. ほぐした蓬の葉を7kg位づつ籠に分けて乾燥室にいれ、80℃から90℃の熱で 4~5時間乾燥させます。(上質の艾は乾燥している最も寒い1~2月に作りますが それでも中は暑い(図5)
 3. 乾燥した葉を取り出し、機械にかけて細かくします。(図6)
 4. 長どおしにかけて、ほこりを落とします。(図7)
 5. 少しづつ手で石臼にいれ、すりつぶしてさらに粉砕します。(図8)(石臼の重さは約300kg(図9)、昔は水車の力で回していたそうです。いまはモーターを使用しています)ちなみに手で細かくひねるような艾(点灸用)を作る時は、石臼に3回入れて細か~くします。おおざっぱに使用する艾(温灸用)は、石臼に2回しか入れません。
 6. もう一度長どおしにかけて、ほこりをとります。(図10)
 7. とうみにかけて、さらにほこりを取り除きます。(図11)(竹でできたとうみは身長の2倍もある大きな物で、長い時間をかけ、ゆっくりゆっくりほこりを取り除きます)(図12)
 8. 最終的に人間の眼で混ざり物が無いか確認します。(図13)

以上がおおよその作業内容です。文字で読んだだけでは想像もつかないと思いますが、とにかく大変な細かい作業です。

この艾に使う蓬は、日本でも中国でもいたるところで取れますが、上質の艾は中国の蓬では作れません。(図14) そのため、中国では艾を細かくひねりお灸する技術がありませんし、お灸でいろんな病気を治療することは、発達しませんでした。 はり・きゅうといっても、灸の技術は日本独自・日本のみといっても過言ではありません。細かな艾を作りだした古人の技術が、医療技術を発展させたのです。

では、どこの蓬が一番いいのかといいますと、 新潟県の名立町付近(現上越市)です。寒いうえに、海からの風が強く大きく育たない、湿気が少ないという気候風土が幸いしているようです。(図15)

お灸のはなし 1 はじめに
 「お灸のはなし 2 お灸って何?
 「お灸のはなし 3 艾(もぐさ)の作り方
 「お灸のはなし 4 日本の艾工場
 「お灸のはなし 5 なぜ線香で火をつけるの?
 「お灸のはなし 6 日本の線香工場
 「お灸のはなし 7  お灸って熱くないの?
 「お灸のはなし 8 お灸と鍼はどう使い分けるの?
 「お灸のはなし 9 お灸ってどんなときにするの?
 「お灸のはなし 10 お灸に効く病気は?

東京・調布 清野鍼灸整骨院 
  院長 清野充典

清野鍼灸整骨院は1946年(昭和21年)創業 
※清野鍼灸整骨院の前身である「清野治療所」は瘀血吸圧治療法を主体とした治療院として1946年(昭和21年)に開業しました。清野鍼灸整骨院は、「瘀血吸圧治療法」を専門に治療できる全国で数少ない医療機関です。

[ 2021.01.29 ]